【短編】あなたのいない日曜日

 

 

逢えなくなってどれくらい経つだろう。

 

 

いつもと同じ日曜日。

10畳のリビングで流れる時間もいつもと同じ。

いつものスーパーに買い物にいって、ご飯をつくる。

録画したドラマをなんとなく流す習慣も変わらない。

 

 

 

ひとつだけ違うのは、あなたがいないこと。

 

 

 

 

 

目を閉じて、記憶をたどる。

あれは大学2年生の夏だった。

 

 

 

 

これといって目立つわけじゃないのに存在感があって

いろんな顔を見せてくれるあなたが好きだった。

 

 

 

誰ともすぐに仲良くなって

いつの間にかなくてはならない存在になっている。

あなたと触れ合う人はみんな笑顔になる。

 

 

 

 

私とは正反対。

 

 

口を閉ざして考え事をしているだけで

 

「怒ってるの?」

「疲れているの?」

 

周りは騒ぎ立てる。

 

 

私だってひとり静かにいたい時もある。

 

 

 

 

そんな気持ちであなたに焦がれていたことを

知らないでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

いつだってそう。

 

 

あなたは知らん顔。

 

自分の存在感にまったく自覚がない。

 

あなたがどれだけの人の人生を明るく照らしているか、

どれだけの人を幸せにしているか、気づいていない。

 

 

 

 

決して伝えることはできなかったけれど

そんな鈍感なところも魅力だった。

 

 

あなたが光だとすると私は影。

決して交わらない世界の人だと思ってた。

 

 

 

 

 

 

なのに、あなたは突然、私の前に現れたの。

 

大学を卒業してすぐの頃だった。

 

 

 

慣れない手つきであなたに触れる私。

 

いったいどんな顔をして逢えばよかったの?

 

 

 

 

 

私にとってあなたは、はじめての人。

 

私の世界を照らしてくれた唯一の存在。

 

 

 

 

あなたがいて、世界が見えて、私が生きていられる。

 

 

 

あれからもう15年。

 

言葉にしなくても分かりあえる。

ずっと同じ気持ちだって思ってた。

 

 

 

 

 

 

それなのに突然いなくなるなんて。

 

 

 

 

「ごめん」も、「ありがとう」も言えないまま

私の世界をさらっていった。

 

 

 

 

 

 

静まり返った部屋で、冷蔵庫のぶぉーんという機械音が鳴り響く。

 

 

 

 

「もしかして、、、?」

 

 

 

台所に駆け寄って、冷蔵庫のドアを思い切り開けた。

 

 

 

 

 

そこには冷気に包まれたあなたがいた。

 

 

 

 

 

 

どんなに探しても見つからなかったのに。

 

 

私の大事なメガネ。

 

 

 

 

頭を冷やせってこと?

 

  

 

もう十分すぎるくらいわかった。

 

あなたのいない日曜日なんてクリスマスがない12月のようだって。

 

 

 

「いつもありがとう」

 

 

そうつぶやいて触れた指先から、
あなたの声が聞こえてくるようだった。

 

 

 

 

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★★★

 

本日もご愛読ありがとうございました。

 

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